SaaSビジネスにおける営業プロセスは、単なる契約獲得に止どまらず、継続利用による価値提供までを見据えた一連のステップです。本記事では、SaaS営業の基本構造と各フェーズの役割について解説します。
SaaS営業は、単発の受注で収益を確定させるのではなく、継続利用から生まれる経常収益を累積させる活動です。売り切り型ではなく、継続利用に基づくサブスクリプション型だからこそ、リード獲得からカスタマーサクセスまで、複数のフェーズに分かれて構築されます。
各フェーズにおける専門部門が連携する仕組み化された営業体制が、成果創出の鍵となります。たとえば「リード獲得」「商談化」「導入支援」「継続支援」といったフェーズで適切な役割分担を設けることで、効率と再現性を高めます。
SaaS営業では、ソフトウェアを月額または年額の継続収益モデルで提供するサブスクリプション型が前提です。導入をゴールとするのではなく、顧客の継続利用を通じてLTV(顧客生涯価値)を最大化することが最終目的となります。
そのため、無料トライアルやデモなどで価値を体感させ、信頼関係を構築することが重要です。さらに「ランド・アンド・エクスパンド」といったアップセル戦略を活用し、初期販売から段階的に導入規模や機能を広げていくアプローチが効果的と言えるでしょう。
マーケティングを起点にインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスへと自然につながる分業体制が広く採用されています。各段階で専門性が発揮され、業務の属人化を避けつつ、生産性と成果が向上します。
CRMやMA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用して、リードや行動履歴を一元管理し、スコアリングや営業活動の可視化が可能になります。これによりKPIの達成状況をリアルタイムで把握し、迅速な改善策を打ち出しやすくなります
SaaSでは契約後こそが本番であり、カスタマーサクセス部門による導入支援、定着促進、解約防止策、アップセル提案が不可欠です。顧客がサービスを「使い続けること」に価値を感じられるよう導き、その結果としてLTVの最大化とチャーン率の低減が実現します。
電話・メール・Web会議など非対面の手段を駆使しつつ、リード獲得に続いてリードナーチャリングや商談化(SQL化)を担います。
マーケティング部門が獲得したリードに対してアプローチし、初回商談のアポ獲得やニーズヒアリングなどを行い、フィールドセールスへ引き渡す橋渡し的な役割を果たします。CRMやMAツールによるスコアリングの活用が重要です。
インサイドセールスが引き継いだ商談機会に対応し、対面や深いヒアリングを通じて顧客の潜在ニーズを顕在化させ、適切な提案を行います。
説得力あるストーリーと提案資料で決裁者に届けることが求められ、最終的には契約(クロージング)まで責任を持ちます。顧客の規模や課題に応じて対応スタイルや商談期間が変動します。
契約締結後、カスタマーサクセス部門が主導して顧客のオンボーディング、定期フォロー、問い合わせ対応、アップセルやリテンション施策を行います。
サービスの定着と価値提供へのコミットが、継続利用と満足度向上につながり、結果として収益継続と顧客ロイヤルティの向上を支えます。
実働だけではなく、営業プロセスの設計と仕組み化にも強みを持つ企業を厳選。単なる人手の投入ではなく、課題の根本からアプローチできるパートナー選びにお役立てください。